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一条 蛍

33+1d10　登場/リザレクト (33+1D10) ＞ 33+6[6] ＞ 39

一条 蛍

……あれ、鼻歌？
すっごく……楽しそうな声が聞こえる。

一条 蛍

ちらりと、男に視線を送るのは。
見た目は男と同じくらいの年齢である、整った顔立ちとスタイルをした少女。
高校生か大学生にも見えなくもない。

一条 蛍

もっとも、ランドセルを机の横にかけていることを除けば。

一条 蛍

「あっ、す、すみません……勝手に見ちゃってて……
　でも楽しそうに見えたもので……お好きなんですか？」

一条 蛍

ぺこぺこ！と頭を下げつつも。
ルービックキューブに視線が行き、首を傾げつつ。

一条 蛍

リィの言葉に、はい……と頷く。
つまりは、彼女自身がれっきとなる小学生ということを示していた。

一条 蛍

「あ、はい……！
　連絡が来たのが丁度学校帰りだったので、すぐに行った方がかと思ってそのまま来ました……！」

一条 蛍

すごい成長……という言葉に、あはは……と笑いつつ。
……か、からかわれないか心配だったけど……この二人はどうも、優しい様子で……

一条 蛍

「うっ……そ、その……！
　…………邪魔をしちゃったかなと思って……すみません」

一条 蛍

小さく、また同じ言葉を繰り返す。
ディビッドの言った趣味とは、ある意味似ているのかもしれない。

一条 蛍

緊張…………ディビッドさんの言う通り、自分で仕事を選んだというのだから…………緊張するのも変な話だけど。
…………やっぱりまだ慣れないところはある。

一条 蛍

「……？……あっ、こんにちは！」

一条 蛍

ノック音に合わせ、目線を向ければ。
ぺこっ！と、挨拶のように頭を下げて。

一条 蛍

牛乳……好きなのかな……？と、片手に持つそれに目がいきながらも。

一条 蛍

「あ……見てません……
　親から見ない方がいいと言われていたので……」

一条 蛍

座ったまま、ふるふる！と首を横に振り。

一条 蛍

「…………？」
首を傾げつつも、その映像に目を向ければ。

一条 蛍

わっ、綺麗な声……それにカッコいいギター……
……すごい、テレビで見るような人みたい。

一条 蛍

「えっ……こ、こんな上手な人でも、レネゲイドに影響されてることもあるんですか……」

一条 蛍

そうなんだ……と頷き、ごくりとしつつ。

一条 蛍

メイプルトリックの問いに、あ、はい……！と頷きつつ。

一条 蛍

「あ……そういうもの……なんですか」
リィの解説に、なるほど……と頷きながら。

一条 蛍

え、えっと……すみません……！と頭を下げて。
面倒をかけてしまって……！という意味での、3回目の謝罪。

一条 蛍

ふむふむ……と三人の話を聞きつつ。
……もしそうなら……オーヴァードの力でむしろ、困ってないってことなのかな？

一条 蛍

「"何か"……」
メイプルトリックの呟きに、ぼそりと繰り返しつつも。

一条 蛍

「あ、は、はい……わかりました……！」

一条 蛍

こくこく！と頭を下げ。
ありがとうございました……！と、声を掛けつつ。

一条 蛍

わっ……動くの、早い……！
これが熟練の方……の動き……！

一条 蛍

少しを目を大きくしつつも。

一条 蛍

そして、デイビットの背中に視線が向きながらも。

一条 蛍

……任務は、メイプルトリックさんの言う通り、経験が多いわけじゃない。
だからこそ、私の考えは間違ってる……かもしれないけど。

一条 蛍

……”歌姫”さんは、歌が上手なものもレネゲイドで補ってるかもしれない……
もしそうなら、私とは違って、レネゲイドをいい物として見てるのかな……？

一条 蛍

”異形”の少女は、疑問に持つ。
これがただ上手ならばそれは素敵な事、けれどそうでないのであれば────。

一条 蛍

と、そこまで思ったところで、リィの視線に目が合い。

一条 蛍

「……すみません」

一条 蛍

苦笑いで、そう返した。

一条 蛍

一条 蛍

一条 蛍

一条 蛍

middle「好奇心旺盛」登場：任意

一条 蛍

39+1d10　登場/リザレクト (39+1D10) ＞ 39+8[8] ＞ 47

一条 蛍

一条 蛍

一条 蛍

一条 蛍

先導を切ったディビットの様子を見てほしいということで、蛍は彼の後を追っていた。リィは別にやることがあるとのことで、他の場所へと向かっており。

一条 蛍

とたとたと、高校生のような背格好にはふさわしくないようなランドセルを抱えながら。
少し小走り気味に彼が向かっているであろう先に向かおうと。

一条 蛍

そして支部の廊下に進み、曲がり角を曲がったところでところで────。

一条 蛍

どすん、とぶつかった音が。

一条 蛍

「きゃ……！？」

一条 蛍

体を、反対側から出ててきた人物に思いっきりぶつける。

一条 蛍

「…………！？」
一瞬高まった、”何か”の圧に、目を丸くしながらも。

一条 蛍

「わわっ……すみません……！
　えっと……その、助かりました……！」

一条 蛍

間一髪、倒れそうになっていた姿勢が、彼の手によって支えられて。
蛍の体は大きい方だが、それを難なく支えられているのは彼の筋力のたまものだろう。

一条 蛍

彼の腕の中で、ぺこぺこ！としながらも。

一条 蛍

「あ、そうだったんですか……。
　この場所、確かにちょっとわかりずらいですもんね……」

一条 蛍

デイビットに同調するようにこくこく、と頷きつつ。
とはいえ、彼が別の意味で迷っていたかもしれないが。

一条 蛍

「……な、なるほど……！」

一条 蛍

何だか独特な文章のデータだった。

一条 蛍

「メイプルトリックさんが言うには……
　私たちと同じかもしれない、という事でしたが……
　……捜索届けが出されている、ですか」

一条 蛍

「……い、いじめられてしまったりとか……ないですよね！？」

一条 蛍

家出自体もなんだか心配……それに、何か問題があって家出しているんじゃないか……と思うし。

一条 蛍

その原因として挙げられるのは……。
と、蛍の"実体験"を思い返しながら。

一条 蛍

「……そうですか……
　すみません、ちょっと暗い方向に考えちゃったのかもしれません」

一条 蛍

ぺこっ！と頭を下げつつ。
ランドセルを背負い直し。

一条 蛍

……レネゲイドにもしも、感染してしまっているのであれば……次第に、私と同じような境遇に陥ってしまっているのかもしれない……

一条 蛍

「バック…………」
ランドセルに目が行く。

一条 蛍

「……あっ……。
　ば、バックって言うのは、今回の事件に関わる人が誰かいないか……ってことですか！あっ、は、はい！！」

一条 蛍

うぅ……なんて恥ずかしい間違い……
そ、そうだよね……入れ物じゃないよね……

一条 蛍

こくり……と少し赤くなった顔で頷きつつ。

一条 蛍

そして、なれない手つきで当のランドセルを開き。

一条 蛍

一条 蛍

・今回の事件に誰かが関わっているか？
情報:噂話……出来ますかね？

一条 蛍

んむ〜ん

一条 蛍

3dx+1=>11 (3DX10+1>=11) ＞ 6[4,4,6]+1 ＞ 7 ＞ 失敗

一条 蛍

財産点4……消費しますね！

一条 蛍

「…………ふむふむ」

一条 蛍

慣れない情報収集で、核心と言えるようなものを手に入れた訳では無い……けれど。

一条 蛍

家出は蛍にとって重大な事件であった。
小学生にとって、それを選択することは重いものである……と考えていたから。

一条 蛍

「食料配給なんて、なんだか珍しいですね……
　……この人に、もしかして畠山さんは助けられていたり……するんでしょうか」

一条 蛍

私がUGNに助けられたように……
オーヴァードとなり、力の使い方に困っていたのを助けた……かもしれない。
本当のところはどうかも分からないけれど、畠山さんがお腹を空かせていないのなら、良かった……

一条 蛍

「白髪……なるほど……！
　確かに、見た目が特徴的であれば見つかりやすいですもんね……！」

一条 蛍

と、小学生であるのに見た目が特徴的すぎる蛍が言いつつ。

一条 蛍

「……！そ、そうでしょうか……えへへへ……！」

一条 蛍

蛍の顔が、明るく、にこっ……！と嬉しげに照れながら。

一条 蛍

蛍はこうして、褒められて嬉しかったという、子どものような思いではあったのだが。

一条 蛍

いかんせん蛍の体がデイビットと同年代のように見える姿のせいで、ナンパされているようにも思えたかもしれない。

一条 蛍

そして、視線がタブレットからデイビットに向けられつつ。

一条 蛍

「そういえば……デイビットさん、先程何かしましたか？
　その、一瞬だけ……すごい顔でこちらを見てた、もので……」

一条 蛍

先程ぶつかった時、まるで人の体とは思えないほどの衝撃が蛍に当たった。
まさしく、筋肉ではなく機械のような肉体であり……。
その事についても、蛍は首を傾げて。

一条 蛍

ふむふむ……！と耳を傾ける。

一条 蛍

「あっ……痛そう……ですね」

一条 蛍

心配そうな瞳を向けつつも、じっとそれに目を送り。

一条 蛍

「へぇっ……！？　そ、それは失礼しました……！」

一条 蛍

ぺこぺこっ、と先程の衝突の時を思い出し、頭を下げて。

一条 蛍

「あ……そんなに謝ってましたかね……？
　す、すみません……！」

一条 蛍

その、純粋な疑問を向けられたことで、最初に緊張した様子はなく。
先程よりもむしろ、安堵したような顔にはなりつつも。

一条 蛍

「なるほど……あ、今のもでしたか」

一条 蛍

うぅ、と唸りつつも。

一条 蛍

「その……つい口から出ちゃうんです……。
　私の体は、私よりも年をとっているので……それに似合っている行動を出来ているかって、気になっちゃって……」

一条 蛍

一条 蛍は、エグザイルオーヴァードである。
"異形"と診断されたその症状は、蛍の実年齢ではまず有り得ない成長を引き起こした。

一条 蛍

それに伴い精神年齢が吊り上がる……わけでもなく。
むしろ、背伸びをしないといけないと思ってしまうことにより、こうして周りを気にする性格になってしまっているのだろう。

一条 蛍

「……出来ればすぐ謝るのは直したいん、ですけど……」

一条 蛍

もじもじ、と小さく答える。

一条 蛍

「どんな人……ですか。
　……うぅんと……物事を完璧にこなしたり出来る、真面目な人ですかね……？」

一条 蛍

うぅーん、と小さく唸り考え。

一条 蛍

ええっ！？と目を丸くしつつも。

一条 蛍

「あっ……かっこ悪い、ですか？」

一条 蛍

……かっこ悪い。そんなこと……考えたこともなかった。

一条 蛍

蛍は、格好の良さ悪さで考えていなかった。ただ流されるだけの蛍にデイビットの考え方はなんだか新鮮に感じたのだ。
……真っ直ぐ進むだからこそ、自信を持てるのか……と思いつつ。

一条 蛍

「……は、はい」

一条 蛍

……ああいう風になれたらなんだか、カッコいい。

一条 蛍

そう思いつつも、答えを聞くまでもなく駆け出していた彼に、少しばかり、くすっと笑いつつ。

一条 蛍

「……はっ、わ、私も行きます！」

一条 蛍

彼の後をまた追うように、ぱたぱたと小学生は走っていった。

一条 蛍

一条 蛍

一条 蛍

一条 蛍

47+1d10　登場/リザレクト (47+1D10) ＞ 47+8[8] ＞ 55

一条 蛍

菓子パンを片手に、公園をうろうろとしながらも。
小さな公園、だからこそよく青空に響く声が。

一条 蛍

「あれが……畠山さん？」
　カラフルで綺麗な髪色……生まれつきなのかな。と内心で思いつつ。
ちらりと熱気あふれる会場とかしたそこへと、目をやる。

一条 蛍

そこはまさしく熱気。
……そんな場所に、一歩を踏み出す勇気がなかった。
進むか引くかの半々の立場にいる。

一条 蛍

あ、あれです…！と畠山に指さしつつ。

一条 蛍

「へっ……あっ、うわわわ……！」

一条 蛍

リィの言葉に顔を向けた途端、デイビットに手を引かれ、まっすぐと群衆の中へと歩いていく。
間違うことなく、ただ自信のままに進む姿に、少し目を大きくしながらも。

一条 蛍

「すみま……あ、ありがとうございます……」
と、謝罪が出そうになったが、慌てて感謝の言葉を返し、畠山へと目線を送る。

一条 蛍

1dx+1=>8 (1DX10+1>=8) ＞ 3[3]+1 ＞ 4 ＞ 失敗

一条 蛍

妖精の手使いましょうかね～……？

一条 蛍

1dx+11=>8 (1DX10+11>=8) ＞ 9[9]+11 ＞ 20 ＞ 成功

一条 蛍

「…………！」
この歌は……

一条 蛍

ごくり、と息を呑む。
レネゲイドに詳しくもない蛍でもわかる。この歌の密度は、凄まじいものだった。
びりりと、空間を震わせるような歌。

一条 蛍

周りを見ていても、よく見れば……目が、虚ろのような。
呆けた表情の人が多かった。

一条 蛍

「……今は、まだ……歌うのは止めないでください」

一条 蛍

「……畠山さんがどんな遺志であれ、自分を伝えようとしているのがあのことなら……
　この一曲は、まだ……邪魔しちゃいけないと思います」

一条 蛍

と、デイビットと返す。
せめて、次の歌のスパンに話をかければ────。

一条 蛍

「……へっ！？」

一条 蛍

わっ……！？一斉に目が向いた……！？
と、その様子に一瞬、目を見張りながらも。

一条 蛍

顔は正面を向いたまま、耳はそのライブに傾ける。

一条 蛍

その叫びに、蛍は耳を傾けていた。
周りにいた観客たちが波のように引いた後も、砂浜に残る貝殻のように、その歌声を聞きながら。

一条 蛍

「……はっ……！えっと……！」
と、傾けていた耳を止め、ステージに慌てて、駆け上がり。

一条 蛍

「あ、それと……喉……乾いてませんか？」
持ってきていた菓子パンと、水を見せながら。

一条 蛍

その様子に、にこり……！と笑いかけて。
どうぞ、と畠山にぽん、と置きつつ。

一条 蛍

「あ、厳密には……そういうわけではなくて……！
　えっと、じゃあ……ここで歌っていたのは……スカウトのため、なんですか？」

一条 蛍

畠山に、なるほど……と頷きつつ。

一条 蛍

「え……独学であの歌声を披露してたんですか！？
　こんな広場で、一人だけで……！？」

一条 蛍

首を傾げた様子に、純粋に目を見開く。

一条 蛍

「……それなら、言わなくて平気ですよ
　例え他の人がいたとしても、畠山さんの歌声は素敵でしたし……」

一条 蛍

こくり、と頷きつつ。

一条 蛍

「それに、スカウトという件も……満更、嘘でもないかもしれません
　”歌姫”って、SNSで拡散されているらしいですし……」

一条 蛍

「…………！」

一条 蛍

冷や汗を、掻く。
その声には余裕が詰まっており、まるでこちらに敵視もしていないはずなのに、どこか薄気味悪く。

一条 蛍

「…………もしかして、あの人がご飯を……？」
と、畠山に小声で、尋ねつつ。

一条 蛍

…………！……こっちに、来る……！
ぞわりとした気配を感じ、一歩下がりそうになるも。

一条 蛍

飢え死に……？
そういえば畠山さんも、お腹を空かせていた。
……どうして？家があるんじゃないの……？家出しているから……？なら、何で止めないの……？

一条 蛍

「……なっ……！？」

一条 蛍

ぞわり、と……”既視感”を覚えながら。
倒れゆく浮浪者たちに、目を向けて。

一条 蛍

「……なんでこんな……乱暴な……！」

一条 蛍

蛍は駆け寄ったが、誰にも今の衝撃で怪我がなかったのが幸いした。
リィが集めた影響で団子状態になっており、お互いがクッションとなっていたようだ。

一条 蛍

手をぎゅっと握り。……言い返せず。
その目には、少し怖さを覚えつつも。

一条 蛍

「……！
　……デイビット……さん……！」

一条 蛍

頬が引き攣っているのは……伝わる。
けれど、その彼の熱意も同じく伝わり。

一条 蛍

「……大丈夫です、畠山さん……！
　…………今は……どこかに……！」

一条 蛍

震える彼女の手を、両手で握り。
安心させるように……拙くとも、ニコリと笑い。

一条 蛍

……今一番怖いのは……畠山さん……のはず。
だって、親しかった人がこんなことをしているのだから……

一条 蛍

こちらの握る手も……震えつつも。
ぎゅっと離さずに、つたつたと離れていく。

一条 蛍

その声に合わせて、ひょこ…と現れ、そして頷く。

一条 蛍

怯えて震える畠山さんの手を握り、そして彼女を一人にしないようにとしつつ、リィの後を追う。

一条 蛍

59+1d10　登場/リザレクト (59+1D10) ＞ 59+2[2] ＞ 61

一条 蛍

「あの時、お腹も空いていましたから……
　満足にお風呂も入れてなかったのかもしれません……」

一条 蛍

畠山さんが少しの時間でも、休めそうでよかった……と思いつつ。

一条 蛍

「あ……そう、ですね……………どう説明すれば……いいんでしょう」

一条 蛍

……ありのままを伝えてしまったら、自分のしたことに傷ついてしまう……かも……しれない。

一条 蛍

「…………そうですね
　……それなら、私に伝えさせてほしいです」

一条 蛍

リィの言葉に、ハッと。

一条 蛍

私が……暴れてしまった時も、UGNは、隠さず話してくれた。
……隠す……とかは、確かにしていなかった。

一条 蛍

おずおずと、こくりと頷き。

一条 蛍

「……私は……お二人のように、やり方に慣れているわけではないんですが……
　その、あの……」

一条 蛍

「……もし、ありのままを伝えるなら、伝えて終わりじゃなくて……
　隣に、いたいって思ったから……です」

一条 蛍

つまりは、これが蛍の”普通に誠意を込めて”
というやり方なのだろう。

一条 蛍

「……腑に落ちない……ですか……？」
と、恐る恐ると。

一条 蛍

「え、ええっと……10日ほど……でしょうか」

一条 蛍

と答える。
しかし、UGNに悩みの末自ら志願しイリーガルとなった蛍は、これが初仕事とも言える。
まだ成り立てには変わりない。

一条 蛍

疑問……ですか……？と首を傾げて。

一条 蛍

「それは………………」
と詰まるが、リィにおそるおそると顔を上げて。

一条 蛍

「……私は止められませんでした
　彼女の全部を歌に込めたようなものは、せめて……一曲歌わせてあげてから、止めるべきじゃないかって」

一条 蛍

蛍はこう感じた。
自信の無い蛍の目には自身を猛烈にアピールし、光る彼女に。まさしくファンとなって、歌う途中で介入できなかった……と。

一条 蛍

う……とリィの言葉に、口を詰まらせながら。

一条 蛍

「………………すみませんでした……
　……私には、止めるだけの勇気が……無かったのかも……しれません」

一条 蛍

「デイビットさん……
　でも、リィさんの……言う通り……だと思います
　……その通りかもしれません、目に入っていなかったんじゃないか……って」

一条 蛍

そこは……申し訳ありません。と、二人に頭を下げながら。

一条 蛍

「…………頭が真っ白になったのは……はい……
　でも……あの時は、あの歌を誰も聞いてくれなかったのが……
　それが、何だか……モヤモヤしたんです」

一条 蛍

リィが食べ物を振舞った際、観客たちは一斉に目の色を変えていた。
もちろん優先度というものはあるので、非は無いのだが……蛍は、聞く者が誰一人居なくなったことを、気にしていた。

一条 蛍

うっ……と、手のひらをぎゅっと固くしながらも。

一条 蛍

「リィさんには……ありがとうございます
　畠山さんが、何かをする前に……止める手伝いをしてくれて……」

一条 蛍

「……でも私は…………聞くのがダメな歌だったら、私一人でも聞き続けます……！」

一条 蛍

殺す、という言葉に蛍の息が詰まる。
日常に生きてきた彼女には、聞き慣れない言葉で。